まず抑えておきたいのが、「D2C」とはどんなものなのかということ。「D2C」とは「Direct to Consumer」を略した言葉です。

従来のビジネスモデルでは、メーカーやブランドが商品を製造すると、それを小売業者が卸業者を通して仕入れて顧客に販売します。しかしD2Cでは、メーカーやブランドが直接顧客に商品を販売するスタイルで、中間業者を通しません。そのため、これまで中間業者に支払っていたマージンや手数料が少なくなり、コストが削減できます。

ここ何年かの間に「D2C」が注目ワードとして流行ってきているのは、なぜでしょうか？その理由には、次のような背景があります。

インターネットを使うことが当たり前の環境になり、ほとんどの人がスマートフォンを使うようになったことが、D2Cのブームのきっかけのひとつでしょう。スマホで365日24時間いつでもインターネットに繋がれるようになったことで、オンラインショッピングの人気が加速。メーカーやブランドは、実店舗での販売に加えて、よりオンラインでの販売にも力を注ぐようになっていきました。

さらに、スマホの普及でSNSの利用もどんどん広がり、メーカーやブランドがSNSを通じて直接消費者と接点を持てるようになったことも、D2Cというビジネスモデルが注目を集めていくようになった一因です。実店舗で販売員が顧客に対して接客するのと同じように、SNSを通じて直接顧客とコミュニケーションをとることができるようになったため、そのまま購買へ誘導するビジネスモデルが好まれるようになってきているのです。

さらに2020年の新型コロナウイルスの感染拡大で、SNSの利用時間が増加し、インターネットショッピングの人気が高まっていることも、D2C人気を後押ししています。

人々の生活や環境の変化によって、D2Cが注目を集めていることをおわかりいただけたと思いますが、D2Cには従来のビジネスモデルにはなかった魅力が多いことも、D2Cを始めたいと思う人が多い理由になっているでしょう。

D2Cは、顧客とのダイレクトなコミュニケーションを図りやすいのが特徴です。そのため、ブランドや商品に対して深い愛着を持ったコアなファンを獲得しやすいメリットがあります。顧客としては、ブランドと直接コミュニケーションを取ることができて、自分たち消費者の声がすぐに商品に反映されるなどすれば、ブランドに対して親しみを感じるようになり、愛用ブランドのひとつになりやすいでしょう。また顧客とのコミュニケーションの中で、ブランドのビジョンや思想を伝えることができて、それに共感するファンを獲得することもできます。

D2Cのビジネスモデルでは、従来の販売流通で発生していた中間業者のマージンが不要になります。そのため商品の販売価格を下げて顧客に提供できたり、よりクオリティの高い商品を製造したり、マーケティングなどを強化できたりします。コストの削減は、メーカーと顧客の双方にとって、大きなメリットとなります。

オンラインショッピングでは、アマゾンや楽天市場などの大手ECプラットフォームに出店するのが、王道の集客の手段です。でもこのようなプラットフォームに出店する場合は、各種割引や配送料の設定などは、運営側のルールに従わなければなりません。しかしD2Cの自社チャネルで販売できれば、マーケティングは自由にでき、キャンペーンなども独自に設定できます。

では、自社でD2Cブランドを立ち上げる場合、それを成功に導くためにはどうすればいいでしょうか？楽天出身者が創業したハワイのデジタルマーケティング会社Hundred Dreams, Inc.が始めたD2Cブランド「ALOHA GIRL STYLE」を事例に、D2Cブランド成功のポイントをご紹介しましょう。

D2Cで成功させるためには、マーケティングをきちんと行うことが何よりも大切です。大手ECサイトのプラットフォームに出店すれば、誰もが知っている大手ショッピングサイトのため、それなりの集客が期待できるかもしれません。しかしD2Cブランドでは、自社チャンネルへのアクセスは自分たちのマーケティングで稼がなければなりません。

D2Cブランドのマーケティングでは、SNSの運用は必須です。「ALOHA GIRL STYLE」では、インスタグラム、Facebook、ツイッターなどのSNSを日々運用して、商品の紹介はもちろん、新商品の案内、割引クーポンの紹介などを行っています。

D2Cブランドに限った話ではありませんが、ブランドが生き残って成功するためには、独自の魅力や世界観を作り、他ブランドと差別化することが必要です。

例えば「ALOHA GIRL STYLE」では、ハワイで生まれたブランドあり、ハワイ在住のアーティストの作品を商品化して支援する特徴があります。

また、6フィート（1.8メートル）のソーシャルディスタンスを、ハワイらしく「サーフボード1枚分の距離をとろう」というメッセージで表現した「#AlohaSocialDistancing (アロハソーシャルディスタンス)」が看板シリーズ。このシリーズでは、コロナの語呂にあわせて、売上の5.67％をハワイ州のNPO団体に寄付。こんなブランドの姿勢に共感した人が、ファンとなっていくケースも多く見られます。

オンラインショッピングでは、生産や流通の仕組みを最適化することが、コストを削減することになります。D2Cブランドでは、中間業者を通さないためコスト削減が可能とご紹介しましたが、さらなる最適化をすすめることも大切になるでしょう。

「ALOHA GIRL STYLE」では、在庫を一切抱えずオンデマンドで製品製造できる仕組みを構築しています。オーダーが入ってから生産するシステムで対応することで、在庫を抱えるリスクを軽減しています。さらに新商品のモックアップをどんどんサイトにアップして、本当に売れる商品だけを揃えるようにできています。

最後に、ハワイ発のD2Cブランド「ALOHA GIRL STYLE」から、人気商品をいくつかピックアップしてご紹介します。

ウィズコロナの時代に欠かせないマスクに、ハワイならではの#AlohaSocialDistancing Seriesのデザインをプリント。個性が光るマスクを探している方や、ハワイ好きの方にピッタリの人気商品です。大人用マスクのほか、キッズ用マスクもあり、どれもPM2.5のフィルター2枚セットです。

ハワイを彷彿させる水色の波模様と「ALOHA GIRL」の文字をデザイン。ハワイに行きたい方、ハワイが恋しい方に喜ばれそうです。

「ALOHA GIRL STYLE」では、本気でビジネスを勉強する仲間が集うハワイ発のグループ「Hawaii Business Mode」のシリーズもラインナップしています。

トレンドにのってD2Cブランドを始めても、きちんとした戦略がなければ、成功することは難しいかもしれません。D2Cブランドの立ち上げにあたっては、D2Cのビジネスモデルの特徴をまずは把握することが大切になるでしょう。