このまま同じような毎日を過ごすべきか、新しいことを始めるべきか。

年齢を重ね、毎日が習慣化するにつれ、「挑戦」は難しくなるものです。

どうすれば自分のキャリアを好転させるための、思い切った一歩を踏み出せるのか…。

そんな悩みを、ロサンゼルス在住の田之頭史華さんに聞いてみました。

日本刀の文化を広げる”つなぐプロジェクト”を始め、精力的に活動しながらシングルマザーとして小学生のお子様を育て、再婚を機に渡米した史華さん。

当時40歳、築き上げた日本でのキャリアを捨て、女性起業家として新たな挑戦”金継ぎワークショップ”に踏み出した田之頭史華さんに迫ります。

挑戦するべきタイミング...!遠距離結婚を得て渡米

ーーー 史華さん、よろしくお願いします!まずは簡単な自己紹介をお願いします。

2020年、40歳の時に再婚をきっかけに渡米。LAで夫と娘と三人で暮らしながら、現地の方向けに「金継ぎワークショップ」の事業を中心に活動しています。内田塾へは2021年に入塾。現在は月2回ぐらいのペースでワークショップを開催し生計を立てています。

ーーー 元々は日本の企業で働いていたんですよね?

そうなんです。日本の大手企業メーカーで、CADエンジニアや商品開発などのお仕事を経験しました。そのあとは転職を数回しながらWeb関連の仕事を続けて、プライベートの方では結婚もしていたのですが意思の疎通が合わなくて、シングルマザーとなり小学生の娘と一緒に生活しながら働いていました。

ーーー 渡米しようと思ったきっかけを聞いてもいいですか?
再婚を機にLAに来ることになりました。主人はLAで働いて遠距離結婚の生活が続いていました。このまま日本に残るか渡米するかを選択する機会はあったんですよ。ただ私も40代ですし、また新しい自分の人生を想像してみた時に可能性としてはやっぱり「外の方が可能性あるよね」「挑戦するべきタイミングだろうな」っていう風に思ったので子どもを連れて渡米することを決断しました。

ーーー  コロナ禍での移住に不安はなかった?
不安しかなかったです(笑)。仕事もなければ外も出れないので子供もずっと1年間はオンライン授業でした。 ただ、今思えばその1年が私と主人と子どもの3人で新しい生活をするためのいい準備期間だったなと思いますね。


ーーー 内田塾へ入塾した経緯を教えてください。
内田さんを知ったのは無料で配られている日系情報誌の広告欄でした。
当時、コロナも少し落ち着いてきた頃で、日本では経験のない企画や営業のお仕事をオンラインで始めたいと考えていたときでした。じつは私より夫のほうが内田さんに興味を持っていて、その結果夫婦で入塾しようと決めたのがきっかけです。

ーーー 金継ぎワークショップを始めたきっかけは?

2021年度ぐらいからコロナも緩和してきたんでアルバイトとかできるようになったんですけれども、コロナの影響で閉店へ追い込まれたお店がすごいあったんです。
私が働いていたバイト先の隣も真っ暗なスペースに変わっていて、レストランオーナーさんに「このスペース、もったいないから何かイベントしませんか?」って提案してみたのがきっかけです。


ーーー 選択肢は他にもいろいろあったと思いますが、なぜ金継ぎを選んだのですか?

LAでは文化活動されてる日本人の方も非常に多くて着物とか書道とか多いんですけど、どこも〇〇流みたいな、肩書きに縛られている感覚があんまり自分の好みに合うプラットフォーム的なものがなかったんですよ。私が体験したことある金継ぎのワークショップは缶ビールとデパ地下のお惣菜を買ってきて金継ぎしながらお酒を飲む『金継ぎBar』みたいな感じでした(笑)。


ーーー それは斬新ですね! 

主催してる方はデザイン会社を経営し、オンラインサロンとかも計画されていて面白いことをされてる会社だったんです。参加者の方もクリエイティブな方たちばかりで雑談の中でブレストしていく、そういう場所が私にとって居心地がよかったし刺激にもなりました。


ーーー パッションもあり伝統も学べる場所になってるんですね。おもしろい!

そうなんです。中々そういうコミュニティってないから自分で作れたら嬉しいなっていうのが本当は始まりなんですよね。そのアイテムってなんだろう?って考えた時に金継ぎってすごくいいアイテムで人も繋ぐっていうところでの『つなぐ』っていう言葉が同じだし、私のもともと日本刀のプロジェクトを立ち上げた時のコンセプトが『つなぐプロジェクト』というのですごく合ってると思い決めました。

20%からでもまずは始めてみる

ーーー 最初のワークショップはどのような準備をして開催したのですか?
レストランの跡地だったのでレイアウトをうまく使っていくことだけを考えてお手伝いしてくださる方と開催しました。集客は当時アルバイトしていたパン屋さんで声をかけたりフライヤーを置かしていただいて集めましたね。

ーーー フライヤーの作成などは日本での経験が役に立ちましたか?

そうですね!それは大きいです。今ほどではないですがフライヤー作成や予約フォームを使ったりすることは出来てました。

ーーー 初回はどれくらいの人数が集まりました?

初回は10人集まれば良いと思っていたんですけど、初回から30人を超えて逆に大変でした(笑)そこでニーズもわかったし集まる大切さをリアルに感じさせてもらいました。何より、お手伝いしてくれたスタッフの方達が「何とか成功させよう」と動いてくれたおかげだと思ってます。

ーーー お〜!スゴい!直面した課題ってありました?

価格設定や決済です。満席なのに赤字が続いていたので価格設定に問題がありました。
決済は予約は入るんですけど当日キャンセルとか、「2日前のキャンセルから参加費の20%くらいはもらえるようなシステムを組めないかな?」などをスタッフと話し合いましたね。今ではWebサイトを作成しオンライン決済、ブッキングと予約、集客できるよう完全にオンライン化へ移行して課題を改善をしました。

ーーー 数をこなしていくうちに改善してきた感じですね。

お客様には毎回アンケートを記入してもらうんです。続けていくうちに具体的な要望も出てきたのでお客様のニーズに応えてきました。

ーーー 具体的にどんなニーズがありましたか?

最初は材料を貸していたのですがコロナの影響もあって「個別の材料が欲しい」というニーズがあったので材料付きのキットを前もって販売した方が良いのではという仮説をたてて料金も含めて見直しました。結果的に価格設定の問題も解決できました!

ーーー お客様の声を聞いて改善していくのは理想ですね!

そうですね。ありがたいことにリピーターも多く高い評価をいただいてます。でも、中には「時間が長かった」などの声もあるので回数を重ねながら日々改善している状態ですね。まぁはじめた時も完璧ではないのはわかっていたので「まずは走り出しましょう」が一番最初でした。

ーーー 60%くらいで始めよう!みたいな?

もっと低いですよ!わたしはいつも20%くらいで始めます(笑)。「こんなんで足りる?」みたいな状態から始めました。
2回3回と開催してブラッシュアップしていくのが「うちらのスタイル」ってことでいいんじゃない?っていう。そういう雰囲気で続けてますね。

初期の料金から”4倍の価格設定”へ 

ーーー 今はどんな形でお客様を集めていますか?

今はオンラインの広告だけです。主な流入元はInstagramですね。
「kintugi near me」でヒットするようにWEBサイトも作成してます。

ーーー もともとオンライン化する予定だったんですか?

考えてなかったです。最初は口コミとか手書きのメールリストみたいなものを作って参加者にその場で書いてもらってました。当時はメールの配信ツールも知らなかったので手書きのアドレスを1つ1つ入力して次回の案内メールを送ってました。手書きなので0(数字)なのかO(アルファベット)なのかわからない...みたいな(笑)!!

ーーー ワークショップの内容も教えてもらえますか?

3時間のワークです。参加者の自己紹介から始まって金継ぎについての紹介や歴史、なぜ流行ってるのか?という話しをして、 実際に持ってきてもらった器を接着させて、最後に今後の案内をして集合写真を撮って終わりです。

ーーー 広告はInstagramのみですか?

無料のタウン誌でも載せてるんですけど一番早く伝えるのが Instagram広告とメイリングリスト、その次にWEBサイトですね。逆に現地の日系誌でアピールするのはタイミングを遅めにしてます。

ーーー なぜその順番なんですか?

私がターゲットにしたいのは日系の方ではないんですよね。日本人の方って、自国の文化に対して価値を感じてもらえづらいところがあります。
どうしても日系の方ってワークショップに対してちょっと安いイメージをもっていているんです。

ーーー どんなイメージですか?

なぜだかはわからないのですが「ワークショップは30ドルくらい」というイメージが定着してます。実際に初回のワークショップも30ドルで開催しました。だけど、30ドルで開催したらすんごい赤字だったんですよ。そこから本当に価値を感じてくれる方ってどんなターゲットだろう?と考えて、50ドル、80ドル、今では120ドルへと価格を変更しました。

ーーー すごい!初回の4倍ですね!

参加者の方はほぼ現地の人ですね。現地の方は日本文化へのリスペクトがあると思います。
例えば、イタリアの文化が好きな方が「千年以上の伝統文化をあなたに教えます!」というワークショップに参加した時に30ドルってすごく安くて怪しまれますね。適正な金額というか、参加者の方々は日本文化へのリスペクトもあるからそういう金額を払うんじゃないかなって思ってます。

ーーー 売上アップのコツはサービスの改善と適切なターゲティングですか?

はい、あとは場所にもよりますね。カリフォルニアの北と南でも物価が違うのでシリコンバレーとかになるともっと値段が上がります。セット込みで120ドルにしていたら参加者の方から「セットなしで120ドルにした方が良い」と逆に言われたりしますね。それでも先日サンフランシスコでは満席になりました。安ければ良いという考えはなくなりました。


ーーー 今後の金継ぎワークショップ戦略を教えていただけますか?

最近気づいたのが、参加してくれた方たちに「何でやりたいのか」っていうのを聞いてるんですけど結構こっちではメンタルヘルスと繋がってることの方が多くて「メンタルを整える」というところでのニーズが高まってるんですよね。
インタビュー受ける前にもリトリートっていう「日常から離れて違う体験をする」ことで精神もリフレッシュしましょう!みたいなところの機会で金継ぎがしたいというお問い合わせを医学大学からいただいたところです。医学と金継ぎが結びつくなぁと考えてます。


ーーー ニーズがあるということですね。

確かに面白いなと思いました。ちょっと変わってるけどそこにニーズがあるってことですね。 今後はそのままの物を大事にするっていうのと、人間の心を修復するという2つのベネフィットに持って行きたいなっていうのがあります。


ーーー 旦那さまの存在が大きいと思いますが、夫婦で起業する上でとくに重要だと感じることは何ですか?

同じ方向を向くことの大切さですね。夫婦って最小の社会って言われてるじゃないですか。それって夫婦関係が悪かったら外へ行っても崩れるっていう認識なんですよ。でも、最初の一年はすごく苦労しました。こういうところは許せないんだとかっていうのも日々の生活でわかってくるまでにすごく時間がかかってケンカも絶えなかったんです。ただ、夫婦で内田塾へ入塾したことで共通用語ができました。「それ有益情報やな!」みたいな(笑)。
内田塾へ入塾する時もお金と時間の面でストレスになるのではないかと悩んでいた頃でしたので、主人が「夫婦で頑張ろう」と言ってくれたのは背中を押してくれたようで嬉しかったです。
今では夫婦でビジネスや将来の夢の話ができたり、お互い苦手なところを補い合い尊敬と感謝をしながらの生活になり夫婦仲もさらに良くなりました。


ーーー 最近では、マーケティングスキルを生かしてコンサルティングも開始したという、史華さんですが、フリーランスや起業に興味があるけど、飛び込むのがこわい……という方に向けてなにかひとつアドバイスをお願いします!

失敗はいっぱいした方が良いです。怖がらなくて、失敗したくなかったら何もしなくていいんですよね。振り子の原理と一緒で片一方を投げないと帰ってこないんです。
チャンスは失敗することですね。そう考えるとメンタルは自分でも強いと思っていて、よく「怒られにきたんか?」なんて言われたり(笑)当たり前を削ぎ落とす感覚はすごく大事にしてますね。


ーーー ここまで挑戦し続けてきた、史華さんだからこそ言える言葉ですね!本日はありがとうございました!

今回インタビューした 田之頭史華さんも学んでいる『ハワイビジネスモード内田塾』の公式LINEに登録すれば、無料でマーケティングやオンラインビジネス関連のさまざまな役立つ情報が紹介されています。内田氏のイベント・セミナー情報や、直接連絡したい場合も、まずは公式LINEから。ぜひチェックしてみてください。

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インタビュイー:田之頭史華さん (@kintsugi_la)(@fumi_2951kigyo)
インタビュアー:中村もと (@moto_writing28)
ライター:中村もと (@moto_writing28)
編集:内田直 (@uchida704)

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アロハ☆ガール編集部

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