観光客の人気を集めるカカアコウォールアート。お気に入りの壁画の前で写真を撮りSNSにアップすること、すでにハワイ旅行のトレンドになっていますよね。
そんな壁画を製作しているのは、ハワイ在住アーティストと、世界中から選ばれた才能あるアーティストたち。今年は日本からストリートアーティストとして日本でも話題を集めているロームカウチさんが壁画を作製しました。

カカアコの倉庫街、作製現場にお邪魔しました。
多くのアーティストたちがハワイの青空の下、様々な場所でユニークなアートを描いていました。

ロームカウチさんは、がらんとした広いパーキングの中で一人静かにアートに取り組んでいらっしゃいました。
ロームカウチさんのアート手法はステンシル画と呼ばれるもので、日本の浮世絵と同じ技法なのだそうです。50を超える手切りのステンシル（型紙）を重ねていきながら、その上からスプレーで色付けをしていきます。ステンシルが設計図のような役目をするので色を重ねる時に少しでも失敗してしまうと、もう一度いちからやり直しが必要なのだそうで、想像を超える集中力が必要になります。

ロームカウチさんの独特なこの技法は、昔ながらの浮世絵の技術を活かし、それを現代風にアレンジするというステンシルアートの今までの概念をこわすもので、2014年にニューヨークで行われた個展でもソールドアウトを記録しました！

そんなロームカウチさんのアートに惚れ込み、ハワイでの壁画製作をお願いしたのが、パウワウ・ハワイ創設者でありイベントディレクターをつとめているジャスパーさん。
「彼の日本での活躍を知り、アートを見た時、彼の描くアートスタイルの壁画をぜひカカアコに描いてほしいと思ったんだ。彼の才能はすばらしいよ。」

ジャスパーさんも「世界中の人たちに彼の作品を見てほしい」と語ったロームカウチさんのアートは、ステンシルを使い設計図を創るだけで時に3か月以上もかかることもあるというもの。ステンシルの上からスプレーで色を乗せる作業にも3日間はかかります。数色のスプレーを使用しますが、微妙な色あいを出すために、その場で色を混ぜ、オリジナルの色を生み出していくのです。

「ハワイにいるからこそ出せる色というのがあります。この場で微妙なニュアンスを感じて創り出します。」とロームカウチさん。

そんな彼の感性で、取り組みから数か月をかけ創り上げた、ロームカウチさんの作品「星に願いを―ハワイ」がこちら。

「17歳くらいだったと思います。ハワイに来たことがあるんです。その時にワイキキビーチで見た風景を思い出しながら描きました。年を重ねると色褪せていくものがありますが、少しでも子どもの頃のピュアなハートをなくしたくないという気持ちも込めています。」
手を伸ばせば、まるで星に手が届きそうなほどの立体感ときらめきを感じるアートです。

「身体を壊して仕事もできなくなった時期があったんです。その時ですね、本当に好きなアートの世界でやってみようと思えたのは。
だから今は、描いているという感覚ではなくて描かされている、生かされているという気持ちですね。」とロームカウチさん。

「僕のアートを見ている人がハッピーになったり、元気になってくれたりすることが嬉しいことなんです。だからアートへのメッセージってないんですよね。雑念もない。純粋に楽しんでもらいたいと思います。」

そう話して下さったロームカウチさん。どこまでも自由な方なのだと思いました。
アーティスト自身が生きていることそのものを楽しんで描いているから、私たちにもその情熱や楽しさが伝わってくる・・・。
描かれている子どもたちも、ビルの明かりも星のきらめきも、すべて生きているから美しいのだと感じさせてもらえるアートです。

作品は、ハワイの記念切手のようなユニークなスタイルで描かれています。ハワイ旅の1ページとしてロームカウチさんのアートを楽しんでくれる方が増えてくれたら嬉しいなと思いました。

このアートを見た方それぞれが、どう感じるか、どう思うか、どんな風に受け取るか・・・ロームカウチさんが望んでいたように、それぞれが持つ思いを楽しんでほしいとも思いました。
日本人アーティスト、ロームカウチさんの描いたカカアコのウォールアート。ぜひ足を運んでみて下さい。

ロームカウチさんの作品のある場所は、
630Pohukaina Street です。