マノアの女神「カハラオプナ」

今日ご紹介する恋ストーリーの主人公は、マノアに住む、虹の女神カハラオプナ。

マノアはワイキキから車で約20分。ハワイ大学や美味しくて人気のポケ専門店「Off The Hook Poke Market(オフ・ザ・フック・ポケ・マーケット)」、写真映えする緑のスターバックスがある街として、今では観光客にも人気のエリアです。

奥に進むと、うっそうと茂る森の中にパワースポットとしても有名なマノア滝があったり、湿気の少ないハワイの中では、雨がよく降り、虹がたくさん出る場所でもあります。

カハラオプナは自然あふれるマノアに吹く風の神カハウカニとマノアの雨の女神トゥアヒネを両親にもつ、とても美しいプリンセスでした。

今回は、彼女の波乱に満ちた人生と女神になった経緯をご紹介します。

カハラオプナと彼女を愛した男たち

神さまの元に生まれたカハラオプナにはカウヒという婚約者がいました。

サメの神、ホアリイの血を引く、カイルアのプリンスです。

カウヒは美しいカハラオプナを自分の妻にできることをとても喜んでいました。

カハラオプナと結婚できることを友人たちに自慢するカウヒ。

カウヒのあまりの浮かれぶりを妬んだ友人たちが、ある日彼に嘘を吹き込みます。

「おいカウヒ、カハラオプナは美しいレイを身にまとい、俺たちを誘惑しに来たぞ。」

その話を聞いて怒り狂うカウヒ。

カハラオプナをヌウアヌの山中に呼び出し、無実の彼女を撲殺、土に埋めてしまいました。

命を奪われたカハラオプナでしたが、彼女についていた守護神のフクロウ、プエオがカハラオプナを土から掘り起こして生き返らせます。

生き返ったカハラオプナは、自分を殺し山道を逃げるカウヒを追いかけました。

「なんで無実の私を殺したの?」カウヒを問い詰めるカハラオプナ。

驚いたカウヒは、もう一度カハラオプナを殺害して土に埋めますが、フクロウ、プエオによって彼女は何度も生き返り、カウヒを追い続けます。

殺しても殺しても追ってくるカハラオプナに恐怖しか感じないカウヒ。
(殺しては生き返り…が5回続いたそう)

最後はカハラオプナが、土から出てこれないよう、根が絡みつくコアの木の下に埋めることにしました。

今度ばかりは守護神のプエオもカハラオプナを生き返らせることができません。

いよいよカハラオプナの魂が天に召される時。

近くを通りかかったカモイリイリという村の首長マハナが、彼女のか細い声を聞きつけました。

マハナはその声を頼りに、コアの木の根っこに絡まったカハラオプナを掘り起こし、特別な技術で彼女を甦らせることに成功。

救出後も、マハナは洞窟の中で必死にカハラオプナの看病を続け、ついに彼女は復活することができたのでした。

カウヒは、カハラオプナを殺した罪で大きなイムの中に入れて蒸し焼きに。

マハナとカハラオプナは結婚し、2人で幸せなひと時を過ごします。
(2人が幸せに暮らす場面は、フラソング「Kahalaopuna」にも描かれています♪)

しかし、幸せな時間は束の間…。

なんと、サメに生まれ変わった元婚約者のカウヒが、恨みから海に入ったカハラオプナを食べてしまったのです。

島にやってきた大きな津波が、カウヒを焼き殺したイムを海の中に飲み込んでいったのです。

カウヒの骨は海の中へ還り、サメの神ホアリイの血を引くカウヒの骨が、海の力で凶暴な巨大サメに生まれ変わったのでした。

巨大サメと化したカウヒが、海の中でカハラオプナを襲うチャンスを待っていたのです。

両親からは「海は危険なところだから行ってはいけない」と忠告を受けていたカハラオプナ。

約束を守っていましたが、海で楽しむ友人を見て羨ましくなり、「少しだけ」と中に入ってしまったことが命とりとなりました。

守護神プエオも、夫のマハナも実体を失くしてしまった彼女を甦らせる事は出来ませんでした。

娘を失った、母親トゥアヒネはとても悲しみました。
毎日、彼女は泣き続けました。

娘を思う悲しみの涙は、雨となり、その雨をマノアの人々は「ka ua tuahine」と呼ぶそうです。

虹の女神になったカハラオプナ

カハラオプナの命を奪ったサメの化身カウヒは、その後、カハラオプナが無実であったことを知り、とても後悔をしました。

しかし、時すでに遅し。

神さまは罰としてカウヒの自由を奪い、嘘の噂を流したカウヒの友人にも山の冷たい雨と風にうたれ続けるように命じました。

そして悲しみに暮れる母親トゥアヒネと夫マハナに言いました。

「カハラオプナは死んでしまったのではなく、マノアの虹の女神に生まれ変わったのです」

さらにマハナには、彼の生涯が終わる時、必ずカハラオプナのもとへ連れていくことを約束しました。

その日からマノアの空には、美しい虹がかかるようになりました。

実体は失くしましたが、愛する家族の元に還ることができたカハラオプナは、今もマノアの虹として人々を魅了し続けています。

リアルな人間模様を描くハワイ神話

一目惚れをしたり、些細なことで仲違いをしたり、相手を妬んだり、大事な人を失って涙を流したり。

ハワイ神話には、場所や時代、階層を越えて共感できる人間の感情がいっぱい詰まっているように思いました。

「みんな同じ」

神さまやダイナミックな大自然にも不思議と親近感と愛着が湧いてきますよね。

マノアに行くときには、ぜひカハラオプナのことを思い出してあげて♡

もしかしたら、美しい虹に出会えるかもしれません。

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Urara

日本⇄Hawaii
大手通信系企業会社員からフリーランスへ転身。
Hawaiiに魅せられ、ソロ旅を繰り返すまでとなった独身ライター女子。
渡航回数30回。現地では常にアクティブに動き回り、Hawaii経験値を日々更新中。
ココヘッドに登るのが好き。